最近の枝肉相場は、A３とA５の価格差がほとんどないためか、全国的に肉質よりも枝重を重視した素牛導入が行われています。そのため繁殖農家さんは枝重が取れない但馬系の種雄牛を避け、増体型の種雄牛を重ねるように積極的に交配されているように思われます。

今の相場ではどうしても増体を優先することは仕方がないですが、このような相場がこれからもずっと続く保証はありません。
これからの日本の和牛生産を持続可能にするためには、海外和牛が真似できないような日本の肉質の高さを示して、国内外にどんどんアピールして行かないとならないと思います。

そんな中で、全国には肉質型の但馬系でありながら枝重も取れる種雄牛がいます。例えば、宮城県有牛の好平茂と秋田県有牛の義平福です。好平茂も義平福も地元の市場の価格を高値に釣り上げていますが、肥育農家さんは好平茂や義平福は但馬系でありながら５００ｋｇを超える枝を作れて、肉質も良いことを知っているので、70万円を超えても安心してボタンを押せます。

そしてついに民間の徳重人工授精所から、福久幸という増体型但馬系種雄牛が登場しました。
今の時点で我々が把握している、福久幸の枝肉出荷成績は下記の通りです。

福久幸 × 百合茂 × 紋次郎　
去勢　５７５ｋｇ　１０番　２５００円

福久幸 × 勝忠平 × 第５隼福
去勢　５４１ｋｇ　１１番　２６６０円

福久幸 × 勝忠平 × 金幸　　
去勢　５４２ｋｇ　　６番　２１８９円

福久幸 × 百合茂 × 金幸　　
去勢　４７１ｋｇ　１０番　２４２０円

福久幸 × 百合茂 × 安福久　
去勢　４８６ｋｇ　　９番　２２６０円

福久幸 × 百合茂 × 紋次郎　
　雌　４６４ｋｇ　１０番　２４８０円

福久幸 × 勝忠平 × 安平　　
去勢　５９６ｋｇ　１１番　２６００円

福久幸 × 福華１ × 第５隼福
去勢　５１６ｋｇ　　７番　２１３０円

福久幸は、非常に安定した枝重と高いサシの能力を持っている思います。
但馬系の種雄牛を一代祖にして、いかに枝重を取るかという問題は福久幸が解決してくれるかもしれません。
福久幸がこれから好平茂や義平福のような増体型但馬系の種雄牛として全国で活躍することを祈っています。